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蕎麦通をもうならせる、香りとのどごしの“外八厘”

蕎麦割烹 武蔵小山 くらた

若き料理人が生み出した十割蕎麦を超える“外八厘”。日本の蕎麦文化が、いま再び花開く

取材日

武蔵小山駅から徒歩約3分。
大通りから一本、脇に入ったところにあるのが「蕎麦割烹 武蔵小山 くらた」だ。
こぢんまりとしているが、黒塗りの外観が重厚感を感じさせ、通りを行く人の足を引き止める。
「ミシュランガイド」に2015、2016と2年連続で掲載。
知る人ぞ知る、名店である。

武蔵小山駅から徒歩約3分、黒塗りの外観が印象的。客層はさまざまで、週末の夜などは近隣に住む人たちが家族で訪れることも多い
武蔵小山駅から徒歩約3分、黒塗りの外観が印象的。客層はさまざまで、週末の夜などは近隣に住む人たちが家族で訪れることも多い

店内に入ると、まず、目に飛び込むのが中央に配置された大きなカウンターだ。
白木のカウンターを囲むように、10席が設けられている。
そのほかにもテーブル席や個室を用意し、大人数での宴会などでも利用できるが、もしこの店を少人数で訪れるなら、ぜひ、このカウンター席を押さえたい。
なにしろここは「蕎麦屋」ではなく、料理人の技を目でも楽しみながら食事を堪能できる「割烹」なのだ。

L字型のカウンター席は10席。このほか、4人がけのテーブル席が3つと、個室がある。個室を貸し切って、大小の宴会も可能。
L字型のカウンター席は10席。このほか、4人がけのテーブル席が3つと、個室がある。個室を貸し切って、大小の宴会も可能。

「最近では、気軽にまっとうな日本料理に触れる機会が少なくなってしまいました。今では日本料理を食べること自体が、ある意味非日常のできごとになっているような感じがします」と話す、店主の倉田氏。
だからこそ、この店ではあえて奇をてらわず、一品一品、素材を丁寧に調理することにこだわっている。
「季節の青菜のおひたし」や「江戸前穴子の柔らか煮」など、倉田氏は、旬の素材が持つ魅力を最大限引き出すことに調理の技を集中させ、それ以外の余計な装飾は削ぎ落とす。
それらの料理は、まさに日本の食材と料理人が織り成す「一期一会」。
これこそ四季に恵まれ、新鮮な素材にあふれる日本ならではの料理なのだということを、改めて実感させる。

おいしさだけでなく、見た目にも楽しめる料理(コースの一例)。季節感にあふれ、旬の味覚を存分に堪能できる
おいしさだけでなく、見た目にも楽しめる料理(コースの一例)。季節感にあふれ、旬の味覚を存分に堪能できる

この店を開く前、倉田氏は都内にある日本料理の名店で12年間修行を積んだ。
そこで習得した技術が蕎麦打ちだった。
蕎麦粉と水。調理法は茹でるだけ。
これほどシンプルな料理はない。だからこそ、自分の技量が試される。
そう思い、一気に蕎麦打ちにのめりこんだ。

蕎麦を盛り付ける倉田氏。温かい蕎麦も用意するが、蕎麦ならではの香りを堪能するなら、ぜひ自慢のせいろを味わいたい。
蕎麦を盛り付ける倉田氏。温かい蕎麦も用意するが、蕎麦ならではの香りを堪能するなら、ぜひ自慢のせいろを味わいたい。

倉田氏の蕎麦打ちは、独特だ。
十割の蕎麦粉に、八厘の国産地粉を加え、100対0.8の割合で使用する。
「日本では、十割蕎麦が一番おいしいと言われがちだけど、果たして、本当にそうかなって思ったんです。十割蕎麦の風味は豊かで力強く、確かにおいしい。でも、二八蕎麦のような柔らかなのどごしも捨て難いのではないか、と」
そうした思いから試行錯誤を重ねた結果、ようやくたどり着いたのが、この「外八厘(そとはちりん)」という割合だった。
使用する蕎麦粉は、会津産品種の「会津のかおり」を甘皮ごと挽きぐるみにしたもので、それ以外の蕎麦粉は一切ブレンドしない。
倉田氏みずから会津の蕎麦の産地に出向き、直接年間契約を結んでいる。
当然、年によっては豊作のこともあれば、不作のこともあるだろう。
しかし、年間契約を結び、生産地と強い信頼関係を育むことで、優先的に良質の蕎麦粉を調達してもらえるのだ。
そうした地道な努力も、手打ち蕎麦に対する、倉田氏のこだわりのあらわれだ。

コースの締めくくりに登場するせいろそば。単品でも注文できる(840円・税別)ほか、季節限定のオリジナル蕎麦も提供する。
コースの締めくくりに登場するせいろそば。単品でも注文できる(840円・税別)ほか、季節限定のオリジナル蕎麦も提供する。

夜の料理はコース料理が中心だ。
先付け、前菜、炙り寿司などから始まり、焼物、煮物と、伝統的な日本料理のスタイルで料理の提供が続いていく。
倉田氏はソムリエの資格も保持しており、店では日本酒や焼酎のほか、ワインも赤白さまざまにそろえている。
お客から「料理に合うお酒を」と訊ねられることもあるが、倉田氏は、「日本料理や蕎麦とのペアリングを考えることよりも、むしろ、ご自分が好きなものやおいしいと感じるものを楽しんでいただきたい」と話す。
本来、「食」にはなんの制限も決まりもない。
ただ本当においしいものを、自由に楽しめば十分なのだ。
コース料理の最後にようやく姿を見せるのは、店主が丹誠込めて手打ちした蕎麦。
せいろに盛られた蕎麦は艶があり、至福の晩餐をしめくくる存在感に満ちている。
古来、日本の蕎麦屋では、玉子焼きや天ぷらなどの一品料理を食べ、日本酒などの酒を味わい、最後に蕎麦で締めくくるのが当たり前だった。
そこにはたっぷりと時間をかけて「食」を楽しむ、贅沢なゆとりと語らいがあった。
そうした日本の豊かな食文化を小粋に、そして、現代にふさわしく再現したのが、この若き店主が率いる「蕎麦割烹 武蔵小山 くらた」なのだ。

日本酒は大吟醸からスパークリングまで、さまざまな銘柄を用意。そのほか、ワイン(グラス・ボトル)や焼酎などもそろう。
日本酒は大吟醸からスパークリングまで、さまざまな銘柄を用意。そのほか、ワイン(グラス・ボトル)や焼酎などもそろう。

※本記事は2017年3月8日取材時点の情報です。
※注記のない価格は消費税込みの価格です。

お店の方の紹介

倉田 政起(くらた まさき)

1980年生まれ、長野県出身。調理学校卒業後「日本料理 神谷」にて12年間修業。2014年1月武蔵小山にて独立開業。2014年2月日本料理アカデミー主宰「第四回 日本料理コンペティション第三位」。2014年12月「ミシュランガイド 2015 」掲載。「RED U-35 2015ゴールドエッグ」獲得。

インタビュー

Q.おいしい蕎麦の条件は?
まず、モチモチした食感、そして、つるりとのど越しが良いこと。それから食べたあと、鼻に抜ける香りも大切です。特に冷たい蕎麦は、食べた瞬間よりも食べたあとの方が、蕎麦の香りを強く感じるもの。こうした余韻も蕎麦のおいしさだと思います。
Q.蕎麦打ちの魅力は?
同じ粉と水を使っても、毎日、でき上がる蕎麦が違うということ。その日の気温や湿度だけでなく、自分の体調や心の調子など、コンディションにも強く影響を受けるんです。そうした意味では、まさに蕎麦は「自分の鏡」のようなもの。決して蕎麦打ちでは、ウソをつくことができません。そうしたところが、蕎麦打ちの怖さであり、魅力でもあると思います。
Q.長野出身ということも、この道に進んだことに影響している?
確かに、幼い頃から蕎麦にはなじみがありましたし、食べる機会もたくさんありました。でも本当に蕎麦打ちのおもしろさに目覚めたのは、18歳で上京し、日本料理の店で修行をさせてもらっているとき。蕎麦打ちを習い、シンプルで潔い蕎麦打ちの技に惹かれたんです。また、東京には日本全国から最高の蕎麦粉が集まってきます。そうしたことも、東京で蕎麦割烹の店を開こうと決めた理由でした。

お店の情報

店名 蕎麦割烹 武蔵小山 くらた
ジャンル 和食
エリア 品川・目黒・田町・浜松町・五反田
住所 東京都品川区小山3-2-18

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